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プレスリリース(ASTRA FOOD PLAN)

プレスリリース(ASTRA FOOD PLAN)

妙義ナバファーム、食品ざんさ再生装置の『過熱蒸煎機』導入により、規格外菌床しいたけを「新たなうまみ調味料」へアップサイクル

水で戻さず使えるうまみ成分たっぷりの「しいたけパウダー」が誕生

しいたけ生産を行う農業法人、有限会社妙義ナバファーム(群馬県安中市)に、ASTRA FOOD PLAN株式会社の食品乾燥殺菌装置『過熱蒸煎機』が導入されました。

ナバファームでは年間100トンの規格外・出荷調整のしいたけを干ししいたけに加工していましたが、様々な課題に直面していました。

今回『過熱蒸煎機』の導入により、生で出荷できない「余剰しいたけ」を香り高い「うま味調味料」にアップサイクルすることが可能となりました。水で戻さず使えるうまみ成分たっぷりの「しいたけパウダー」として利用できることが期待されます。

年間約100トン発生する「余剰しいたけ」が赤字を生み出している

1.年間約100トンもの生で出荷できない「余剰しいたけ」が発生
ナバファームは年間約1500トンのしいたけを生産していますが、そのうち100トンほどが「余剰しいたけ」として、干ししいたけに加工されています。形や大きさが不適格な規格外品に加え、形の良い規格品も需給の関係で一部が出荷調整対象となり、干ししいたけへの加工対象なっています。すなわち、生産者努力だけでは「余剰しいたけ」をゼロにすることができないのが現状です。

2.燃料代の高騰により、干ししいたけへの加工コストが増加
一般的に、干ししいたけの乾燥には灯油を燃料とする温風乾燥装置を使います。この乾燥にはおよそ24時間かかることから、非常の多くの燃料を消費します。また冬季は、しいたけの需要が増し、生産量の増えるのに比例して「余剰しいたけ」の発生量も増えますが、外気温度が低く熱効率が下がることから、夏季に比べてエネルギーコストが2倍となりしいたけ生産者にとって大きな負担となっています。

3.菌床干ししいたけの取引価格は安く、不採算事業に
干ししいたけというと高級品のイメージがありますが、高値で取引されるのは森の中の自然に近い環境で栽培される「原木しいたけ」です。ナバファームのしいたけは、おがくず等を固めた「菌床」と呼ばれるブロックで栽培する「菌床しいたけ」です。原木しいたけと比べて生育期間が短く安定的に一年中収穫できる利点の半面、安価になります。燃料コスト高騰の価格転嫁が難しく、昨今は菌床しいたけを干ししいたけにすること自体が不採算事業となっています。

『過熱蒸煎機』の導入により、生で出荷できない「余剰しいたけ」を、香り高いしいたけの風味を損なうことなく「うま味調味料」にアップサイクル。時短・低コストながら、うまみ成分アップで高付加価値化を実現

1.『過熱蒸煎®』技術でうまみを成分アップさせた高付加価値な「しいたけパウダー」が誕生
『過熱蒸煎機』は、食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながら、乾燥と殺菌を同時に行うことが可能な装置です。本装置で加工することにより、うまみを成分アップさせた高付加価値な「しいたけパウダー」を製造することに成功しました。

しいたけのうまみ成分であるグアニル酸は、昆布のグルタミン酸、かつお節のイノシン酸に並ぶ三大アミノ酸のひとつです。グアニル酸は、乾燥状態の干ししいたけにはほとんど含まれず、冷水に数時間浸すことで増えるという特徴があります。そのため、干ししいたけで出汁をとるためには水戻しのための時間が必要でした。ところが『過熱蒸煎機』で乾燥すると、しいたけパウダー自体にグアニル酸が多く含まれることが実験により判明しました(グラフ参照)。そのため、水で戻す必要がなく、パウダーをそのまま振りかけたり、即席出汁として使ったりすることができるようになります。これまでの和食の常識を覆す、新たなうまみ調味料としての期待が持たれます。

2.規格外品から”軸”に至るまでアップサイクル
「余剰しいたけ」を『過熱蒸煎機』で乾燥・パウダー化する場合、形や大きさが不適格な規格外品に加え、一部ざんさとして廃棄されていたしいたけの”軸”の部分も有効利用することができます。食感が硬いことから取り除かれることの多いしいたけの軸ですが、”カサ”の部分より栄養価は高く、うまみ成分も多く含まれます。

3.加工時間は一般干ししいたけの約1/3、燃料代は約1/2で乾燥・粉末化
従来の干ししいたけ製造に使用している温風乾燥装置では、乾燥時間に24時間かかっていましたが『過熱蒸煎機』で同量を処理する場合、1/3の約8時間になります。さらに『過熱蒸煎機』はガスを用いることで灯油よりも燃料代も抑え、全体の金額的なコストは約1/2で「しいたけパウダー」の製造が可能です。

複数の食品メーカー、飲食店等と協力し、しいたけパウダーを使った商品開発を開始

ASTRA FOOD PLANは、装置の販売だけでなく、食品メーカーとの用途開発にも取り組んでいます。今回、新たなうまみ調味料として期待される本しいたけパウダーを用いた新たな食品の試作および、用途開発を複数の企業と開始しました。

▼協力企業の声
ラーメンチェーン店:「今使っている干ししいたけよりも少量で短時間に出汁が出る」
給食事業者:「うま味を活かして減塩効果が得られる」
食品メーカー:「化学調味料不使用の無添加食品の原料として良い、SDGsの文脈でもストーリー性がある」

ASTRA FOOD PLAN代表取締役 加納千裕よりコメント

今回ナバファーム様に『過熱蒸煎機』を導入していただくにあたり黛社長ご夫妻から様々なお話を伺い、生産者を取り巻く課題は想像以上に山積していることがわかりました。驚くと同時に、『過熱蒸煎』技術で一次産業事業者の持続可能性に貢献したいという想いを強く持つようになりました。
本プレスリリースでは干ししいたけにまつわる課題をお伝えしましたが、ほかにも問題はまだまだあります。
そのひとつが菌床の廃棄問題です。しいたけや舞茸を収穫した後の菌床は最大で2回使った後、廃棄処分となります。廃菌床は湿っていて腐りやすくそのままにしておくと虫が湧いてしまうそうで、特に夏場は頻繁に産廃業者に引き取りに来てもらう必要があり、その廃棄コストは年間数千万円に上ります。私が見学に訪れた際も、トラックで大量の廃菌床が一時置き場に続々と運ばれてきました。
そこで、廃菌床を『過熱蒸煎機』で乾燥・殺菌するテストを行ったところ、しっかりと殺菌でき、元のおがくずに近い状態に戻すことに成功しました。乾燥すれば保存と運搬が可能になるので、一部菌床の原料としての再利用、木質ペレットや養殖魚の餌、昆虫養殖の敷材など、様々にアップサイクルできる可能性があります。今後実装を目指し、共創パートナーを募集しています。
フードロス問題をはじめとする社会課題の解決は1社ではできませんが、複数社が繋がることで可能になると考えています。装置販売と用途開発を並行して進めることで、既存のサプライチェーンの形を壊さずに、業界全体として“かくれフードロス”問題を解決する持続可能な「仕組みづくり」に取り組んでまいります。