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アグロフォレストリーとは?メリット・デメリット

アグロフォレストリーとは?メリット・デメリット

地球環境が悪化の一途をたどる一方、さまざまな環境保全にむけた活動が行われています。そんな中、減少しつつある自然資源を回復する手段の一つとして「アグロフォレストリー」が注目されています。

アグロフォレストリーとは

アグロフォレストリー(英語: agroforestry)という言葉は、農業(Agriculture)と林業(Forestry)を組み合わせた造語です。日本語では「農林複合経営」「森林農業」「混農林業」といわれます。

樹を植え、その土地で作物を栽培したり、家畜を飼ったりする農業・林業のことで、森の樹を伐採せずに農業をするのが大きな特徴です。とくに熱帯地域で盛んに行われています。

アグロフォレストリーの歴史は古く、1978年に国際アグロフォレストリー研究センター(International Centre for Research in Agroforestry:ICRAF)が設立されています。また、この農法の源流を振り返ると、古くからアマゾン川流域に住む南米の先住民族がこのような農法をしていたそうです。

アグロフォレストリーのメリット

アグロフォレストリーのメリットは大きくわけてふたつあります。「収入面」と「環境保護」です。

収入面では、同じ作物だけを栽培する「単一栽培」よりも、生産者の収益減少のリスクを減らせます。逆に収益を増やすことも期待できます。同時にさまざまな作物を栽培するため、ひとつの作物が病気などでダメになっても、他の作物や家畜や森林資源で収益を確保できます。

もうひとつは「環境保護」の面です。アグロフォレストリーは森林を伐採しない農業・林業なので、森を守れます。森は二酸化炭素を多く吸収するので、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを減少させられのです。近年の異常気象は地球温暖化が原因ともいわれており、二酸化炭素の削減は世界的な課題にもなっています。

2016年9月に南米ペルーの森林火災で、広大なアマゾンの森林が失われました。この火災の原因は伝統的な焼き畑農業であったといわれています。

森林には多くの生物が棲んでいます。焼き畑をしないアグロフォレストリーは生物の多様性を守ることでもメリットがあるのです。

アグロフォレストリーのデメリット

アグロフォレストリーはメリットが大きいのですが、課題もあります。

1つ目は、システムを確立するまでに時間とコストがかかることです。一度システムが確立されてしまえば採算がとれますが、経営資源の乏しい農家にとってはそれまでの投資が重たくのしかかります。

2つ目は、単一栽培(モノカルチャー)の農法と比べると、寿命が長く持続可能性が高い一方で、作物同士が光・水・養分を奪い合うため、慣行農業と比べると収量が少なくなります。

3つ目は、機械化が困難であることです。複雑なシステムのために農業機械を使うことが困難で、手作業での栽培が主になります。そのため、人件費の増加につながります。日本のような高齢化が進む国においては更にハードルが高くなります。

アグロフォレストリーと日本人との関係性

アグロフォレストリーと日本は深い関係があります。1929年に日本人移民がブラジルのトメアス市に移住しました。1950年頃、そのトメアス市で当時「黒いダイヤ」と呼ばれるコショウの栽培が盛んで、大きな収益をあげていたのです。

ところが、そのコショウが病害で不作になり、単一栽培に頼っていた農家は大きな損害を受けました。そこでトメアス総合農業協同組合が、コショウと一緒にカカオの栽培を提案。こういう経緯があり、トメアス市ではさまざまな作物を栽培するアグロフォレストリーが根付いていきました。そのトメアス農業協同組合は、日系移民が中心となっていたのです。

トメアス市の場合、コショウは病害に弱く10年以内に枯れると予想しました。そこでコショウと一緒に他の作物や苗木を植えました。コショウが枯れる頃に、他の作物は成長し、苗木も大きな樹に成長し、森林資源も増えるという仕組みです。

アグロフォレストリーが注目される背景

近年、世界の森林資源は伐採・開拓などにより多くが失われています。環境省「国際的な森林保全対策」によれば、1990年時点で世界に41.28億ヘクタールあった森林面積は、2015年には39.99億ヘクタールまで減少しました。つまり、1.29億ヘクタールの森林資源がわずか四半世紀の間に失われたことになるのです。この失われた森林の面積は、南アフリカの国の面積と同じ程度です。

また、現在でも世界レベルでみると毎年730万ヘクタールの森林資源が失われています。この原因は「熱帯・亜熱帯で行われている単一作物の栽培をするプランテーション」「焼き畑農業」「木材の過剰な伐採」「森林火災」です。

森林火災は地球温暖化が原因の主なひとつです。地球温暖化につながる二酸化炭素を吸収する森林資源が失われる現状は、悪循環といえるでしょう。

アグロフォレストリーは、樹を植えながら農業をするので、森林資源が守られます。森を伐採したり、焼き畑農業をしたりしないので、生物の多様性は維持されます。

最近では、アグロフォレストリーで生産された作物は地球にやさしいという付加価値を得て、高価で取引されるようになりました。結果として、それが生産者の収入を増やす良い循環を生んでいます。

アグロフォレストリーを応援する企業紹介

日本でも株式会社明治が、「アグロフォレストリーミルクチョコレート」を販売しています。同社のホームページでは「アグロフォレストリーについての説明」や「アグロフォレストリーミルクチョコレートができるまでの過程」、「アグロフォレストリーミルクチョコレートの役割」などを解説しています。

とくにアグロフォレストリーミルクチョコレートの役割としては、

1.環境に配慮・持続可能な原料調達
・森林再生に貢献・二酸化炭素削減
・安定した農家の経営
・アグロフォレストリー農法の持続的発展
2.ブラジル トメアスという産地とのつながり
・日本の反対側にある小さな日本
・日本人が管理する農協と農園
・10年余りにもわたる共同品質研究

といったように、アグロフォレストリーミルクチョコレートの付加価値をホームページに明記。

『明治は、日本のみなさまに「おいしさ」を提供するだけでなく、アグロフォレストリー農法を応援し、農家の生活を支えます。そして、森林資源の再生へ貢献していきます』と結んでいます。

おわりに|アグロフォレストリーとは

日本でアグロフォレストリーはまだ一般的でなく、大きな取り組みはありません。しかし、少しずつ検討している地域もあります。

日本の農地の面積は国土の12%です。また、農業従事者も減っていく一方です。農地を増やしていかなくても、作物を多く収穫できるアグロフォレストリーは、日本にあった農法かも知れません。

気候変動の影響で持続可能性の危機に直面しているコーヒー産業においても、「シェイドグロウン」と呼ばれる、日陰樹(シェイドツリー)である高木や果樹の下にコーヒー樹を植えて、コーヒー樹や土壌への日光の照射量を調整する農法がサステナブルコーヒーのために重要と指摘されていますが、これもアグロフォレストリーの一種と言えるでしょう。

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