玉ねぎの皮は固くて噛み切りにくく、土が付いていたりして食用に適さないイメージがありますが、意外なほど多くの栄養が含まれているため、剥いてそのまま捨ててしまうのは”もったいない”。実際、玉ねぎの皮はパウダーやフレーク、ティーバッグなどさまざまな加工製品として売られているほどです。
それでは、玉ねぎの皮に含まれている栄養成分と、玉ねぎの皮を有効利用する方法をご紹介します。
「玉ねぎの皮」に含まれている栄養成分
玉ねぎの外側の茶色い皮に含まれている栄養成分の代表的なものとしては、ポリフェノールの一種である「ケルセチン」があります。その量はなんと内部の20倍も含まれています。
また、日に当てることでケルセチンが増えることがわかっています。1週間当てると3.5倍に増加したというデータもあります。
ケルセチンは強力な抗酸化物質であり、細胞を酸化ストレスから守り、炎症を軽減します。体の老化を抑えたり、コレステロールや血糖値などを調整する働きがあると言われています。
そのほかの成分としては、
- 便秘の緩和、腸内環境の改善、血糖値の安定化など、消化器系の健康に寄与する「食物繊維」
- 免疫機能を強化し、抗酸化作用のある「ビタミンC」
- 血糖値の上昇を抑制する助けとなり、糖尿病の予防につながる「クロロゲン酸」
- 体内の多くの生体機能に不可欠であり、特に免疫機能と血液の健康に寄与するミネラルである「亜鉛と鉄」
などが含まれています。
玉ねぎの皮を有効利用する方法
ケルセチンは水に溶けやすく熱に強いという性質があるため、煮出して摂取することができます。
手軽な方法としては、玉ねぎの皮を煮だした汁を取っておいて、ご飯を炊く時やみそ汁を作る時に通常の水の代わりとして使うという方法があります。
他にも、玉ねぎ特有の香りと風味を利用してスープやブロスへの風味づけに使ったり、乾燥させた玉ねぎの皮を入れたティーバッグで玉ねぎの皮茶を作ったり、細かく砕いた粉末を肉料理に振りかけて調味料として使用する、といった方法があります。
また、調理以外に有効利用する方法もあります。
染料
玉ねぎの皮は自然な染料として使用できます。布や紙を染めるのに利用することができます。
水で煮出して染め液を作り、布を染める際に使います。この方法は、クラフトプロジェクトや手作りアートにも適しています。
美容用途
玉ねぎの皮には抗酸化物質が豊富に含まれているため、肌の健康に良い効果をもたらすことが期待できます。
- 玉ねぎの皮を乾燥させて粉にし、自家製のスキンケア製品に利用できます。
- 玉ねぎの皮を入れた入浴剤は肌を滑らかにし、リラックス効果を得られます。
- 玉ねぎの皮を煮出した液をスプレーボトルに入れ、化粧水代わりに使用することで、肌を健やかに保つ効果が期待できます。
ただし、事前にパッチテストを行って、肌に合わない場合は使用を中止するようにしてください。
肥料
スープの出汁や染料として使い終わった玉ねぎの皮は、更に家庭菜園の肥料としても活用できます。以下はその詳しい方法です。
<肥料としての利用手順>
・玉ねぎの皮を細かく刻むか、そのままでも使用できます。
・コンポスト容器や堆肥箱に皮を加えます。他の生ごみや落ち葉、草と混ぜ合わせるとバランスの良い堆肥が作れます。
・時折かき混ぜて酸素を取り込み、発酵を促進します。
・数週間から数ヶ月で堆肥が完成します。玉ねぎの皮に含まれる栄養分が土壌を豊かにし、植物の成長を助けます。
<液体肥料としての利用手順>
・玉ねぎの皮を水に浸し、1–2週間ほど置いておきます。
・水が薄茶色に染まったら、皮を取り出します。
・この液体を水で薄めて植物に与えると、天然の栄養補給ができます。
玉ねぎの根元を有効利用する方法
玉ねぎの根元の部分の利用法としてリボベジ(再生野菜)をご紹介します。玉ねぎ自体(球根部分)を再び大きく育てるのは難しいですが、葉を楽しむことは比較的簡単にできます。以下に方法を説明します。
- たまねぎの根を残す: 玉ねぎを使う際、根元(下の白い部分)を1~2cm程度残して切り取ります。
- 水に浸ける: 切り取った根の部分を小さな容器に置き、根元が少し水に浸る程度に水を入れます。たまねぎ全体を水に浸ける必要はありません。
- 日当たりの良い場所に置く: 室内の明るい窓辺など、直射日光が当たらない場所が適しています。
- 水を交換する: 水は毎日、または1~2日に1回交換して、清潔に保ちます。
- 収穫: 成長した葉を薬味やサラダとして使うのが一般的です。
- 芽が出たら土に植える(オプション): 数日から1週間程度で芽が出てきます。しっかり育てたい場合は、土に植え替えるとより良い成長が期待できます。
リボベジについてもっと詳しく知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
おわりに|玉ねぎの皮の栄養成分と皮を有効利用する方法
玉ねぎの皮には、栄養や利用価値が詰まっています。出汁や、染料、美容、肥料など、さまざまな形で再利用することで、日々の生活をよりお得でエコフレンドリーにすることができます。
これまで玉ねぎをそのまま捨ててしまっていた人は、ぜひこの記事を参考にして有効活用してみてください。