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6次産業化(6次化)とは?メリットデメリット

6次産業化(6次化)とは?メリットデメリット

6次産業化という取り組みをご存じでしょうか?今後の農林漁業と地方創生を支える一つのカギとも言われています。

6次産業化とはどのようなものか、また、そのメリットデメリットを紹介します。

6次産業化とは

6次産業化(ろくじさんぎょうか)とは、産業分類上、第1次産業に属する農林漁業者が、第2次産業に分類される加工業や、第3次産業に分類される流通・販売・サービス業に進出することを意味しています。

東京大学名誉教授である今村奈良臣氏による造語で、第一次産業の1と第二次産業の2、第三次産業の3を掛け合わせると6になることから「6次産業化」と名付けられました。省略して単に「6次化」と呼ぶこともあります。

本来であれば一次産品の生産に集中する方が効率的ですが、輸入品との価格競争などによって採算が合わなくなってきていることから、農作物や水産物の加工や流通といったサプライチェーンの川下側のマージンを取り込むことによって、所得の向上を図り、一次産業を維持・活性化させようという狙いがあります。

6次産業化のメリット

6次産業化のメリットの一つ目は、所得の向上が見込めることです。6次産業化に取り組んでいる法人を対象とした日本政策金融公庫による2011年の調査によると、約7割を超える事業者が所得の向上をメリットとして挙げています。

メリットの二つ目は、産地ロスの低減が見込めることです。一次産品の生産と販売だけしかしていない農家の場合、規格外品が発生した時や、豊作によって流通価格の低下が懸念される時は、出荷せずに廃棄処分せざるを得ない場合があります。加工まで行っている場合は、そうした分も加工品として販売することでロスを減らすことができます。

メリットの三つ目は、加工業や小売・飲食業への展開によって、雇用が確保できることです。農業や漁業は季節性が高いという側面があるため、比較的、年間を通じて作業量が平準化されている加工業やサービス業に取り組むことで、雇用を安定化させることができます。また、加齢による肉体の衰えで農作業や漁に出ることができなくなった高齢者でも参加可能な仕事が生まれます。

雇用が生まれ、所得も向上すれば、地方の人口減少や少子高齢化といった問題の緩和効果を見込むこともできます。

6次産業化のデメリット

6次化のデメリットとしては、資本や専門性が必要になることが挙げられます。

加工に取り組むためには生産設備への投資が必要であること、また、デザイン・マーケティング・接客などの、1次産業とは異なる専門性が求められるため、そうした専門知識を持った人材を採用するためのコストが必要になります。そのため、個人農家では取り組むことが難しいと言えるでしょう。

また、食を扱う事業につきもののリスクとして、食中毒などの食品事故もデメリットのひとつと言えるでしょう。食品事故を起こしてしまうと、信用を取り戻すことは簡単ではありません。2018年6月に改正された「食品衛生法」によって、2020年6月から食品を扱う全事業者に対してHACCPによる衛生管理の義務化が開始しました。1年間の猶予期間を経て、2021年6月からはHACCPの導入・運用が完全義務化されています。

このように、6次産業化は簡単ではありませんが、6次産業プランナーという専門家に相談することができます。問題解決に向けて、専門家からの目線で具体的なアドバイスをもらうことができます。全国各地にサポートセンターが設置されています。

6次産業化の成功ポイント

国や地方自治体の後押しによって、6次産業化への取り組みは増加傾向にあります。平成23年(2011年)3月に施行された「六次産業化・地産地消法」に基づく総合化事業計画の累計認定件数は、令和3年(2021年)3月時点で約2,600件となっています。

加工・販売のみにとどまらず、レストランや観光などへの取り組みも増えています。優良事例が取りまとめられた「6次産業化の取り組み事例集(令和3年3月)」で先進的な取り組み例を見ることができます。

これらの成功事例をもとに、成功のポイントを「製造面」と「販売面」に分けて紹介します。

製造面における成功のポイント

製造面においては、地域の試験研究機関との連携によって、新しくて希少性の高い品種の栽培に取り組んでいる成功例が散見されます。単にこれまで栽培してきたものを高次加工するという取り組みに留まらずに、差別化・ブランド化を意識している事業者が成功しているように見受けられます。

品種の差別化以外にも、成分分析比較や加工技術(急速冷凍、低温調理法など)による差別化といった取り組みもあります。こうした取り組みは、産学官連携による、他業種との協業がポイントとなっているようです。また、最近のトレンドとしては、有機農業、循環型農業、未利用品や規格外品の活用による食品ロスの削減、耕作放棄地の活用、農福連携といったような、SDGsの文脈に適応したストーリーを商品の魅力向上に取り入れている様子が窺えます。

また、コンフィチュール、ジェラート、コンポートといったような、都市部の消費者の好みを取り入れた商品開発をしていたり、ロゴ・パッケージデザインなども洗練されているような、デザインやマーケティング力の高さが成功事例によく見られる共通点です。アドバイザーの力が大きいとは思われるものの、UIJターンの人や、地域興し協力隊などの、都市部から来た感度の高い若手人材の活躍がポイントとして挙げられます。

販売面における成功のポイント

販売面においては、上記の生産・加工時におけるこだわりの部分をブランドストーリーとして上手く訴求することで、直売・卸売の成功につなげている事例が多いようです。その際には、SNSの活用やクラウドファンディングを駆使してストーリーを消費者に上手く伝えている傾向がみられます。

販路としては、道の駅や鉄道駅などへの直売店の出店や、催事(物産展)への出店といった従来からの販路のほかに、ふるさと納税の返礼品が販路として成長しています。

また、上記のような商品を売るという販売面の取り組みに加えて、飲食や宿泊といったサービス業への進出が広まりを見せています。旅行会社とのツアー企画を開催したり、グランピング施設を開業したりといったように、収穫体験に加えて飲食や宿泊といった本格的な観光サービスに取り組むことで、顧客との深い接点を生み出し、その後も継続的に商品を購買してくれるファン顧客の育成につなげるという、重層的な地方活性化ビジネスとして成長している事例も見られます。

おわりに|6次産業化(6次化)とは

コロナ禍による飲食店との取引減少や観光客の減少によって、一次産業は大きな打撃を受けました。異常気象や人口減少、高齢化による労働者不足などの厳しい状況下にある一次産業の維持・育成は、日本の持続可能性にとって非常に大きな課題であると言えます。

記事中でも触れたように、都市部に住む人材がビジネスに関与することが成功の一つのポイントとなっており、事業が成功して経済が潤えば、更に都市部の人材を地方に惹きつけるという好循環を産むことができます。6次産業化による、一次生産者をはじめとした産地の経済発展は、その課題解決のための有効な手段として今後も発展が望まれます。

当サイトを運営するUP FOOD PROJECTでは、食のアップサイクルという文脈から規格外の農産物や水産物を加工品として開発(第二次産業化)し、そうした物語をワークショップなどの体験型コンテンツとして消費者とつながっていく活動(第三次産業化)を行っています。

食のアップサイクルの動向を知ることでチャンスを感じて頂ける部分もあると思いますので、よろしければこちらの記事もご覧ください。

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