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固定種(在来種)・F1種とは?それぞれの特徴と見分け方

固定種(在来種)・F1種とは?それぞれの特徴と見分け方

野菜の種には固定種(在来種)とF1種といった種類が存在することをご存知でしょうか?

現代の農業の主流となっているF1種は、生産効率重視の大量生産に欠かせないものですが、持続可能性や生物多様性の視点からは課題があります。

価格と効率に偏重した流通システムは規格外野菜の廃棄問題(フードロス)につながるものでもあるため、消費者がこうした事実を知って消費行動を変えることがサステナブルな社会づくりには欠かせません。

ここでは、固定種(在来種)やF1種とはどんなものか?それぞれの特徴と見分け方を紹介します。

固定種(在来種)とは?

種の種類は、大きく「固定種」と「F1種」に分けられます。それぞれの種によって、育つ野菜の見た目の形や収穫時期、育ち方に差が生じます。

固定種は昭和初期まで野菜のほとんどを占めていました。一番優れた野菜の種を採って次の野菜を育てます。そしてまたその出来た野菜の中から一番良いものの種を採って育てるということの繰り返しを何代もかけて行うことで品種を改良していきました。

種を採り続けることで毎年再生産を続けていくことができる昔ながらのやり方です。現在において固定種の野菜といえば貴重な存在であり、わずかの農家や家庭菜園などでしか見られなくなってきています。固定種に限定して野菜作りを続けている農家もいて、ネット販売などに力を入れて販売の幅を広げていたりします。

また、固定種に属するもので「在来種」と呼ばれる種があります。在来種は自然な育種をしていく過程において風土に合わせて適応していった野菜のことを指します。この種は何代もの長い年月をかけてその地域の気候やその土地の風土に適応したものであるため、必要以上に肥料や農薬に頼らなくても栽培が可能です。

一般的には、固定種は種苗会社が形質を固定させていったものであることを指し、在来種は農家が自家採種したものを指します。

F1種とは?

F1種は現代農業の中心となっている種で、簡単に言うと「人工的に作られた一代限りの雑種」を意味します。「ハイブリッド」や「交配種」などと呼ばれたりもします。種苗店やホームセンターなどで見かける種はF1種が大半を占めています。

人工的に別系統の野菜どうしを掛け合わせると一代目の時にだけ現れる「雑種強勢」によって、野菜の成長が早まり収穫できる量も大きく増えます。なおかつ雑種の一代目というのは、両親の優性形質のみが現れるという特徴を持っているため、野菜の形や大きさが同じに揃えることができるのです。

大量生産に向いているほか、品質の安定した生産や供給を続けることができます。ただし、この人間の思惑通りの特徴が現れるのは一代目の時だけとなるため、農家は毎年種を購入する必要があります。

しかし、農家にとっては、収量を増やし、流通の規格に合った農作物を作るためには欠かせない存在となっています。

固定種(在来種)とF1種の特徴と見分け方

固定種(在来種)の特徴

固定種(在来種)の主な特徴は、

  • 作物の大きさや形が均一ではない。
  • 生育の時期がそろわないので、収穫時期にばらつきが見られる。
  • 味が濃厚。個性的な豊かな風味を感じる。
  • 自家採種できる。

などがあげられます。

F1種の特徴

一方で、F1種の特徴は、

  • 大きさが同じで均一した形をしている。
  • 生育が早い。
  • 色がきれい。柔らかく、味が甘い。
  • 花粉を作れない株の一種でもある。不妊植物と呼ばれることもある。

などがあげられます。

固定種(在来種)とF1種の見分け方

種のパッケージを確認して「交配」と書かれているものはF1種です。

固定種(在来種)のものには、交配とは記載されてはいないので見分けやすくなっています。一方、「在来種」や「育成」などと書かれているものは固定種(在来種)です。

野菜を見た目で判断するポイントは、形の均一さや色の鮮やかさなどを見ます。スーパーに並んでいるほとんどの野菜はF1種です。色や形が均一に揃っているのでわかりやすいでしょう。

ただし中にはモロヘイヤのように例外の野菜もあります。今のところモロヘイヤにはF1種が存在しません。従って、モロヘイヤについてはスーパーで売られているものも含めて全て固定種になります。

固定種(在来種)を育てるメリット・デメリット

固定種(在来種)を育てる上でのメリットには、自家採種ができることや珍しい品種を育てることができることです。

固定種(在来種)には、親と同じ形質を持った種ができるという特徴があるので、自家採種した種で次の年に同じ品種の野菜を作ることができます。自家採種が可能になると、種を仕入れするコストを削減することにもつながります。

品種の多様性が大変豊かで、見た目や味のバリエーションに富んでいる固定種(在来種)は、本来の野菜が持つ独特な味わいを楽しめるものが多いので、スーパーで売られている均等な野菜とは一味違った風格を持っています。そのためスーパーの物との差別化ができ、付加価値を付けて販売することも可能です。

ほかにも環境適応能力が高い性質を持っているため、代が変わるたびにその土地に合わせて適応していきます。地域に合わせて生育していく力があり有機農業にも適している種だと言われています。また、種を採種できることは持続可能であり種を何回も買う必要がないので循環型農業にも適しています。

固定種(在来種)を育てる中で、野菜の一生を目で見て体験できる食育にもつながります。自分達で種を蒔き、大切に世話をしながら芽が出てやがて花が咲き実をつけます。そして枯れた後には、実から選んで種を採り翌年にまたその種を蒔き育てていきます。季節を感じながら農業に触れることができるのです。

逆に最大のデメリットは、収穫量や品質が安定していないことです。収穫の時期にもばらつきが見られるので大量生産などの大規模な流通システムには不向きとされています。

おわりに|固定種(在来種)・F1種とは

F1種は悪だから全てを固定種(在来種)にするべきという単純な話ではありませんが、過度に均一化されたシステムは多様性に乏しく、ひとたび問題が生じると壊滅してしまうという脆さがあることは事実です。

コロナ禍において「安全」と「経済」という2つの相反するトレード・オフというものが理解しやすい今だからこそ、「経済性(F1)」と「多様性(固定種)」というトレード・オフにも目を向けて頂ければと思います。