伐採や剪定により廃材になったコーヒーの木で作ったコースター。
コーヒーの木は毎年たくさんの農園で、木の植え替えや剪定が行われ山に放置されるだけの廃材になっています。今でも多くの住民が料理の薪にしますが伐採される量と比較するとほんの一部です。木は樹齢が50年ぐらいの物もあり硬く丈夫ですが、細いために再利用しにくいと人気がありませんでした。
2018年にGOOD COFFEE FARMS代表のカルロス氏は、山に捨てられてる木を見て、これを何かに使えないかと農園のある小さな町の大工に声をかけました。彼は1人で家具を作る大工で、小さい物を作ったことがありませんでした。しかし毎日試行錯誤、根気よく作り続け2019年には日本人に喜ばれる品質の商品が完成しました。
GOOD COFFEE FARMSについて
グアテマラのコーヒー生産者の多くは小規模で資金不足のため、生産性が低い上、複数の仲介・輸出業者を経由するために安値で販売せざるをえず、コーヒー栽培のみでは生活に必要な収入が得られずに離農する農家が増えています。
また栽培知識が不十分で農薬や肥料を不適切な方法で与えた結果、生産性の低下やコーヒーの木を枯死させてしまうといった問題も起きています。また、加工場ではコーヒー豆の精製過程において大量に発生する廃水・廃棄物によって環境汚染も引き起こされています。
そこで、グアテマラ出身のラミレス・メレンデス・カルロス・ロベルト氏が、自転車を使用した独自の精製処理の仕組みでそのような状況を変えるべく2017年にGOOD COFFEE FARMSを設立。環境負荷を減らし、トレーサビリティが確保された高品質のコーヒー豆を適正な価格で販売することでコーヒー農家の収入向上に取り組んでいます。
自転車の動力を利用した脱穀機を開発
世界の小規模なコーヒー農家においては、精製に必要な設備資金もノウハウもなく精製処理をすることができず、そのためコーヒーチェリーの実のままで販売するしかなく、低価格で取り引きされるため彼らが儲からない構造になってしまっています。
そこでGOOD COFFEE FARMSは、小規模コーヒー農家が収穫後の精製処理を行えるように、自転車の動力を利用した脱穀機(ドライ・バイシクル・パルピング・システム)を開発しました。
この脱穀機は水を使用しないため、コーヒーチェリーの糖分が水で流されず、通常より長い時間糖分が豆に吸収されます。その結果、コーヒーチェリー本来の甘みを感じることができるフルーティーなコーヒーに仕上がります。さらに、水・燃料・電気も使わずに果肉を除去することができるため、低コストで導入できることに加えて、環境負荷も減らすことができます。
同開発により、従来より課題となっていた大規模な精製手段の壁を打ち破り、環境問題の解決と小規模農家が参入できる枠組みを構築しました。
将来的にはグアテマラだけでなく、世界にもこの仕組みを導入しようと検討しています。
コーヒー豆のトレーサビリティーの確保
各農家が収穫した豆をバイヤーが1つに纏めてしまう場合がよくあり、いつだれがどこでどの様に生産したのかという製品追跡(トレーサビリティ)ができていない場合がよくあります。これでは、コーヒー豆のクオリティを確保することが出来ず、結果的に美味しくない豆が流通してしまいます。
そこでコーヒー農家と連携してすべてのプロセスをGOOD COFFEE FARMSを一気通貫で管理を行うことで、いつ誰がどこで何をしたかの今まで出来なかったトレーサビリティー(コーヒー豆の追跡)を実現し、各農家の品質向上に取り組んでいます。
農家一人一人の生産の知識習得や経験は、美味しいコーヒーの未来に繋がります。それぞれが自立し高品質なコーヒー生産が出来、彼らがしっかりと収益を得られれば、真のサスティナブルな(継続可能な)ビジネスの仕組みとして成り立ちます。